国民民主党が減税策として「103万円」の引き上げを打ち出しており、与党自民党と公明党は策を検討しています。
話題になっている「103万円の壁」とは、所得税を支払うかどうかの最低年収のことです。
賛否が交錯する中、
①「103万円の壁」の問題点
②「178万円」の理由
③「年収の壁」の引き上げの可能性
④実現の時期
について、わかりやすく解説します。
「なぜ、103万円という金額なのか?」
そもそも、
「なぜ、103万円という金額なのか?」
「いつ、決まったのか?」
という疑問がありませんか?
実は『103万円』とは、全ての納税者が対象の「基礎控除」(48万円)と、会社員の経費という位置づけの「給与所得控除」(最低55万円)の合計額です。
約30年前の1995年に決まりました。
現在は、物価の上昇や最低賃金の増加などもあり、30年前に決定した金額が現在に合致しているはずもありませんね。
では、「103万円の壁」の問題点を説明します。
①「103万円の壁」の問題点
今の制度では「103万円」を超すと、超えた分に【所得税】が発生します!
そのため、「103万円」を超えないように、学生の場合はアルバイト時間を調整したり、親の扶養から抜けないようにしたりする必要があります。
夫の扶養に入りながらパートで働いている配偶者である妻も同じです。
(ただし、パートで働く場合150万円までは所得税が増えない配偶者特別控除という仕組みがあります。)
アルバイトやパートをする方にとっては、
「「103万円の壁」のために、働きたいけど働けない!」
という働きひかえが生じるという現実問題があるわけです。
一方、経営者側としては、
「時給を挙げて欲しい!」と要望に対して、時給を1300円にしたとして、アルバイトを1日5時間、月に20日間勤務させたとした場合、
1,300×5×20 = 130,000
8カ月間で1,040,000円となります。
ですから、「103万円」を超すために、この従業員を働かせることができなくなります。
繁忙期によく働いてくれるアルバイトの方が使えないのは一大事です。
そのため、経営者としても繁忙期には十分働けるよう、閑散月は抑制するということになります。
共産党が主張する「最低時給金額を1500円にする!」というだけでは、選挙目当てとしか言えませんね。
②「178万円」の理由
「103万円」を「178万円」に引き上げようと国民民主党は打ち出しています。では、
「178万円」とは、どこから捻出された数字なのでしょうか?
「103万円の壁」ができたのは1995年で、当時の日本の最低賃金は全国平均で『611円』でした。
そこから約30年経ち、現在の最低賃金は「1.73倍」の『1055円』となっています。
そこで、最低賃金が「1.73倍」になったのだから、「壁」の103万円も「1.73倍」にして、
103万円×1.73=178万円
にしようということです。
③「年収の壁」の引き上げの可能性
「103万円の壁」の問題点からもわかるように、「年収の壁」の引き上げると
✅人手不足の解消
というメリットがあります。
では、1995年から続く「103万円の壁」は、今後どうなるのでしょうか?
国民民主党は、年収「103万円の壁」を『178万円』に引き上げるという強い意欲を見せています。
しかしながら、政府の試算によりますと、
国民民主党案のとおりに「103万円の壁」を178万円に引き上げた場合、減少する税収は約7兆6000億円にのぼると言っています。
となると、与党である自民・公明党としてはできるだけ『額』を下げたいわけです。
ですから、自民党は初めのうちは110万円とか115万円ぐらいで話を進め、野党である国民民主党が納得しなければ、その後に130万円くらいにしていくのでは?と予想されています。
一気に『178万円』へ引き上げることは困難でしょうから・・・
自民、公明、国民の3党が会談し、今後の進め方を議論していますので、結論が楽しみではありますね。
④実現の時期について
2024年も年末が見えて来ました。
そのため、年内に「103万円の壁」を引き上げることは不可能です!
では、「いつ頃、壁の引き上げができるのか?」
と実現の時期が気になります。
自民党と国民民主党の話し合いも、
「来年に110万円くらいから130万円くらいに進むのでは?」
と考えると2025年には検討結果が出て、早くて2026年に反映ということになりそうです。
まとめ
今回は、
『【103万円壁】178万円に引き上げ問題!要点と注意すべき内容』と題しまして、
賛否が交錯する中、
②「178万円」の理由
③「年収の壁」の引き上げの可能性
④実現の時期について
わかりやすく解説しました。
①「103万円の壁」の問題点では、
今の制度では「103万円」を超すと、超えた分に【所得税】が発生するため、
アルバイトやパートの方は、「働きたいけど働けない!」という問題が生じています。
また、経営者としても12月など繁忙期に十分働いてもらえるように、閑散月は抑制するという現実があります。
いずれにしても、「働きひかえ」という問題が生じているわけです。
②「178万円」の理由
制度ができた当時の日本の最低賃金は全国平均で『611円』でした。
現在の最低賃金は「1.73倍」の『1055円』なので、「壁」の103万円も「1.73倍」にして「178万円」にしようと国民民主党は主張しています。
③「年収の壁」の引き上げの可能性
一気に『178万円』へ引き上げることは困難です。
ですから、自民党は初めのうちは110万円とか115万円ぐらいで話を進め、野党である国民民主党が納得しなければ、その後に130万円くらいにしていくのでは?と予想されます。
④実現の時期について
自民党と国民民主党の話し合いも、
「来年に110万円くらいから130万円くらいに進むのでは?」
と考えると2025年の結果を早くて2026年に反映ということになりそうです。