老後の不安は、お金と健康に関することが多く占めています。
特に、
「将来、年金だけ生活できるのかな?」
「足りない分は働いて収入を得るようにしよう!」
と考えている人も多いことでしょう。
しかしながら、
年金をもらいながら働く場合、気をつけなければならないことがあります。
なぜなら、
収入によっては、一部または全額が支給停止されることがあるからです。
今回は、
✅働いた際、年金はいくらもらえるか?
について図を用いて解説します。
働くと年金が減額される理由
まず、働くと減額される理由ですが、
「十分すぎる給料をもらっているようだから、年金をカットするよ!」
ということです。
年金の一部または全額が支給停止となる場合は、
・70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所に勤めている場合
です。
キーワードは、「厚生年金保険」です。
なお、
「老齢厚生年金の額」と「給与と賞与の額」に応じて、減額の度合いは異なります。
ただ、安心してください!
キーワードからもわかるように、停止の対象となるのは、「老齢厚生年金」だけです。
「老齢基礎年金」は、支給停止の対象とはなりませんから…
働いた場合、年金はいくらもらえるか?
働いた場合に、年金はいくらもらえるのでしょうか?
別の言い方をすれば、
働いた場合、年金が支給停止になる場合はあるの?
ということになりますね。
いくら給料を貰うと支給停止対象になるの?
老後のお金が不安だから働くことにしたのに、年金が支給停止になってはたまりませんね。
「今まで支払った分は、全額年金として欲しい!」
と誰でも思うはず…
では、
いくら給料を貰うと支給が減額になったり、停止の対象になったりするのでしょうか?
令和2年の年金制度改正により、65歳前の「在職年金制度」が令和4年4月から見直しとなり、年金減額・停止基準が緩和されています。
下図を見てください。
「過去」としていますのは、令和4年4月以前となります。
60歳から64歳までの人は、
「月収」と「年金」を加えた額が28万円を超えると減額されていました。
しかしながら、下図を見てください。
令和4年4月から見直しされました。
60歳から64歳までの人も
「月収」と「年金」を加えた額が47万円を超えた場合に減額になると緩和されました。
ちなみに、65歳以上の人は47万円を超えた場合に減額と変わっていません。
さて、「月収」と「年金」とは、何のことでしょうか?
『年金の支給停止額』の計算式を見ながら、説明しますね。
『年金の支給停止額』の求め方
『年金の支給停止額』は、下図の式で求めることができます。
『年金の支給停止額』は、
『総報酬月額相当額』と『基本月額』を足して、その合計が47万円を超えたら、47万円を超えた額の半分が減額されることになります。
では、
『総報酬月額相当額』や『基本月額』について説明します。
『総報酬月額相当額』とは?
『総報酬月額相当額』とは、
会社から受け取る「毎月の給料」と「1年間に支給される賞与を12で割った額」を合計した金額をいいます。
例えば、
毎月の給料が30万円で、
1年間の賞与合計が80万円の人の『総報酬月額相当額』は、いくらでしょうか?
それは、
給料30万円に賞与80万円を12で割った6.6万円を足して、36.6万円となります。
なお、
「はっきりした金額がわからない!」
という方は、毎年ご自分の誕生月に届く「ねんきん定期便」をご覧くださいね。
「最近の月別状況です」と書かれた下に、
給料額は「標準報酬月額(千円)」と書かれていますから…
例の場合は、給料30万円ですから、300と書かれていることになります。
また、
賞与額は「標準賞与額(千円)」と書かれています。
例の場合は、賞与80万円ですから、6月と12月の欄の合計が800になるように書かれていることになります。
『基本月額』とは?
『基本月額』とは、
1年間に受け取る「老齢厚生年金」を12で割った金額をいいます(加給年金は除く)。
例えば、
1年間に合計180万円の老齢厚生年金を受け取っている人の『基本月額』は、
180万円を12で割った15万円です。
『年金の支給停止額』の計算
基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下の場合は、全額支給されます。
問題なのは、47万円を超えてしまった場合ですね。
それでは、
計算式に基づき、前述した例えの場合を試算してみましょう。
・1年間の賞与合計が80万円
・老齢厚生年金は年間の合計180万円
の方の『年金の支給停止額』を求めてみます。
まず、
『総報酬月額相当額』は、36.6万円でした。
給料30万円と賞与80万円を12で割った6.6万円を足して求めましたね。
そして、『基本月額』は、
180万円を12で割った15万円でした。
つまり、
= 2.3万円
となります。
本来もらえる年金から2.3万円が減額されることになり、年金支給月額は、15万円から12.7万円となりますね。
さらに、この例では、
= 0万円
働いて得た『総報酬月額相当額』が32万円以上から年金が一部減額となります。
そして、
= 15万円
「老齢厚生年金」が月に15万円支給されるわけが、
働いて得た『総報酬月額相当額』が62万円以上で全額が停止となります。
ただ、全額支給停止となるは、「老齢厚生年金」だけです。
「老齢基礎年金」は、支給停止の対象とはなりませんので安心を…
年金が全額停止になるなら繰り下げ受給を検討するという方は、こちらを参考にしてください。
⇒『【要注意】給料のもらい過ぎ!年金が全額支給停止の繰り下げ』
「ねんきんネット」で試算がおすすめ
年金時給額は、一人一人が異なります。
ご自身に当てはめるときには、
【ねんきんネット】の「将来の年金額を試算」コーナーで試算することをおすすめします。
詳細な条件を設定することで、
「支給停止見込額(月額)」が発生するかどうか?を実際に確認することができますよ。
面倒な『ねんきんネット』への登録の簡単な方法はこちらを参考にしてください。
⇒『【簡単】ねんきんネットの登録!マイナンバーカードの活用方法』
また、
厚生年金の等級には上限があります!
当然ですが、
現役時代に高収入だった人も限られた年金しか受け取れないことになりますよ。
将来の年金やライフプランなどの不安がある方は、プロに相談してみるのはいかがでしょうか?
【無料】ですから安心ですね。
まとめ
今回は、
『【年金】働くと減額される理由!いくらもらえる?改定後の計算方法』
と題しましまして、
「将来、年金だけ生活できるのかな?」
「足りない分は働いて収入を得るようにしよう!」
と考えているあなたに、
年金をもらいながら働く場合、収入によっては、一部または全額が支給停止されることがあることを説明しました。
特に、
✅働いた際、年金はいくらもらえるか?
について図を用いて解説しました。
働いた人の年金については、令和4年4月から見直しされて、60歳から64歳までの人も「月収」と「年金」を加えた額が28万円から47万円を超えると減額に緩和されました。
読んで頂けたことで、ご自分の将来の人生設計を考える機会になれば嬉しい限りです。
なお、やる気がある人は、「個人事業主になる」という方法もあります。
これから個人事業主としてスタートされる方や現在個人事業主の方をサポートし、社会保険への加入ができる仕組みに興味がある方は、こちらを参考にしてください。