国を守る陸上自衛隊には、方面隊や師団・旅団という主要な部隊があります。
では、
「現在の陸上自衛隊の主要部隊配置は、どうなっているのでしょうか?」
そもそも、
「師団や旅団とは、どのような部隊なのでしょうか?」
などの疑問について、陸上自衛隊の元幹部自衛官である私が、図や表を用いて、しかも専門用語などをつとめて省いてわかりやすく解説します。
自衛隊のOBとは言え、
「守秘義務」がありますので、資料等については次を参考にさせていただきました。
※参考
「防衛白書」
「防衛省ホームページ」
「陸上自衛隊ホームページ」
陸上自衛隊の主要部隊配置はどうなっているのか?
陸上自衛隊の主要部隊配置は?
まずは、
「現在の陸上自衛隊の主要部隊配置は、どうなっているのでしょうか?」
という疑問にお答えします。
次の『主要部隊配置図』を見てください。
上の図の様に、陸上自衛隊は日本を地域に応じて、大きく「5つの方面隊」に分けられています。
その他に、方面隊とは独立して運用される「陸上総隊」があります。
表にしてみると、以下のようになります。
「師団」や「旅団」とは何か❓違いは❓
『主要部隊配置図』を見て、陸上自衛隊は大きく5つの方面隊に分かれていることがわかったと思います。
「ところで、師団や旅団とは何ですか?」
「師団と旅団の違いについて教えてほしい!」
などの疑問に答えます。
「師団と旅団の違い」を簡単に説明します。
「師団」とは!
「師団」とは、陸上自衛隊の基本的な作戦部隊のことであり、作戦において『自己完結』ができる集合隊です。
普通科、特科、機甲科などの戦闘部隊だけでは無く、システム通信部隊や後方支援部隊からなる諸職種が連合した部隊のことです。
任務に基づき、独立して、ある地域や示された期間、一つの正面作戦を遂行する能力を持っています。(定員は、約6,000名~9,000名)
「旅団」とは!
「旅団」とは、
基本的には師団の規模を縮小した作戦部隊のことであり、「師団」と同様に作戦において独立して行動できます。(定員約3,000名~4,000名)
「旅団」の中には、以前は「師団」でしたが、コンパクト化を図るためや実員を確実に補充するために旅団化された部隊もあります。
そして、必要に応じて師団から部隊を借りたりもします。
なお、普通科、特科、機甲科などの陸上自衛隊の職種については、こちらを参考にしてください。
⇒『陸上自衛隊の仕事(職種)には、どんなものがあるのか?』
「師団・旅団」以下の部隊の規模
実は、「師団・旅団」とは、連隊や群という部隊の集合体になります。
では、「師団・旅団」以下の部隊はどのような集まりなのでしょうか?
「師団・旅団」以下の部隊の規模について概要を表にしたものがこちらです。
過去の主要部隊配置はどうなっていたのか❓
「主要部隊配置」は、以前から変わらなかったわけではありません!
私が、入隊した頃の主要部隊配置は、次のとおりです。
「あまり変わらないのでは?」
と思われた人もいるかも知れません。
しかし、
実は、全然中身が違います!
大きな「方面隊」は変わりませんが、
「師団」が13個あり、師団規模を小さくした「混成団」が2個あったのです。
歴史的背景について
1977年(昭和52年)以降は、
「防衛計画の大綱」に基づいて防衛力が整備されました。
1980年(昭和55年)には、
対馬警備隊が編成されました。
1981年(昭和56年)には、
四国地域警備のため、第13師団(師団司令部:海田市)の部隊を改編し、第2混成団が編成されました。
なお、
その約10年後の1990年(平成2年)には、
陸上自衛隊の主力装備である【90式戦車】が制式化されるようになります。
そして、1992年(平成4年)、
「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」が制定され、陸上自衛隊初の海外実任務となる『自衛隊カンボジア派遣』が行われ、部隊として参加することになったのです。
最後に
今回は、
『陸上自衛隊の方面隊・師団・旅団の主要部隊配置を自衛隊OBが解説』
と題しまして、
「現在の陸上自衛隊の主要部隊配置は、どうなっているのか?」
「師団や旅団とは、どのような部隊なのでしょうか?」
という疑問に対して、図や表を用いて務めて専門用語などを省いて解説しました。
ちなみに、陸上自衛隊は、
1945年(昭和20年)8月に「警察予備隊」が創設され、1952年(昭和27年)8月に「保安庁」が発足しました。
その下で「保安隊」、「警備隊」に改組され、1954年(昭和29年)7月1日に保安隊及び警備隊は「陸上自衛隊」になりました。
現在も自衛隊は、
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える…」
ことを中核とする服務の宣誓を行い、任務を全うしています。
私も陸上自衛隊OBとして、まだまだ応援していきます!
なお、自衛隊に入隊したいと少しでも考えている方は、こちらを参考にしてください。