【自衛隊の引越し】自腹から実費支給へ!その実態はどうなのか?

自衛官へ

令和2年6月1日から引越し費用は実費で支給されることになりました。

以前、自衛隊の「引越し」は、民間とは異なり、経費の扱いが無いため自腹を切っていました。
この様な実態を知らない国会議員も多くいたことに驚かされました。

今回は、

『引越し手当』のそもそもの基準額はいくらなの?

階級で支給金額に違いがあるの?

『引越し手当』は、全額が支給されるの?

などの疑問を陸上自衛隊OBが解消します。

果たして、引越し費用が実費で支給されるようになった後、黒字にできるようになったのでしょうか?

『引越し手当』の支払い金額は?

自衛隊の『引越し手当』については、
国家公務員法で決められており、下記のような異動に関する手当がでることになっています。

・引越し手当
・赴任旅費
・広域移動手当

「引越し手当」は、
移動距離階級などで計算され支給されます。

「赴任旅費」は、
引越し先までの移動や宿泊に伴う交通費宿泊費が支給されます。
旅費は片道分で、扶養家族全員分が支給対象です。

「広域移動手当」は、
60km以上離れた駐屯地(赴任先)に移動する際の手当です。
引越し後、3年間支給されます。

なお、
広域移動手当については別に投稿していますので、こちらを参考にしてください。

知る人ぞ知る!自衛隊に支給される【広域異動手当】とは?
国家公務員だけに認められた『広域異動手当』について、「広域異動手当とはどんな手当なの?」「転属・異動すれば誰でももらえるの?」「いくらもらえるの?」「他の『手当』との関わりはあるの?」など、あなたの疑問を陸上自衛隊OBが解消します。

『知る人ぞ知る!自衛隊に支給される【広域異動手当】とは?』

『引越し手当』の基準額はいくら?

まずは、
『引越し手当』の基準額を見てみます。

距離によって額が変わりますが、その際、
直線距離ではなく「鉄道距離」となります。

これは、JRが昔は国鉄だったことに由来しているようです。

それでは、近距離、中距離、長距離で、
「単身・独身の場合」
「家族帯同の場合」とを比較してみましょう。

この様に、
支給額に2倍の違いがあることがわかりますね。

階級で支給金額に違いがあるの?

「階級」ごとではありませんが、
次の様に「曹士」と「幹部」では支給額に違いがあります。

・曹士 :100%
・3尉~2佐:115%
・1佐以上:135%

1佐以上は、自衛隊においては特別な階級になりますので、3尉~2佐「単身・独身の場合」「家族帯同の場合」とを比較してみますね。

この様に、
先ほどの表より15%高い金額が支給されることになります。

『引越し手当』は全額が実費支給されるの?

残念ながら、
『引越し』で支払った全額が後から支給されるわけではありません!

実際に支給される上限は、
『引越し手当』の基準額の3倍
まで
となります。

すると、次の様な表になります。

実態はどうなのか?

自衛隊では、鉄道の走行距離を「駅すぱあと」などで使用していますね。

「青森駐屯地」から「朝霞駐屯地」へ異動した場合を例にしますと、

距離は、706.4km

ですから、
先ほどの表の1,000km未満となり、
「家族帯同」で見ますと、

・曹の場合、648,000円
・幹部の場合、744,000円

までは支給されるわけです。

使った分を支給されるわけですから、黒字にはなりませんね。

しかしながら、3月の繁忙期になると、多額の見積もりを提示されることもあります。

 

できることなら、
なるべく支給上限を超えないようにして、少しでも予算内に収まるよう交渉したいものですね。

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また、
引っ越しに伴って、

「官舎に関して知りたい!」

という方へ別に記事を書いていますので、ご参考にしてください。

自衛隊官舎はどんなところ?入居条件、家賃、役員はどうなのか?
「自衛官は、全員官舎に住んでいるの?」「自衛官と結婚したら、官舎に住まないといけないの?」「官舎って、どんなところ?家賃はいくら?」など、自衛官自身も、また、自衛官と結婚した奥様も持つ疑問に、陸上自衛隊OBが答えます。

『自衛隊官舎はどんなところ?入居条件、家賃、役員はどうなのか?』

まとめ

今回は、

『【自衛隊の引越し】自腹から実費支給へ!その実態はどうなのか?』

と題しまして、

実際に支給される上限は、
『引越し手当』の基準額の3倍まで
と表を用いて説明しました。

結論は、

実費支給になっても、引越しは安く上げるしか無い!

ということです。

なぜなら、
引越しにかかった全額は支給されないからです。

支給予定の上限内で安くすめば、全額が戻ってくることにはなりますが。

しかしながら、
つい最近までは、引っ越しは自腹が常識で、

「全額を支払うのは仕方がない」

という風潮があったわけですから、家計的には助かっていると思います。

なお、
「地域手当」「広域異動手当」「通勤手当」についても別に書いていますので、どうぞご参考にしてください。
『自衛隊の【地域手当】とは?支給される駐屯地を表にしてみた!』

『知る人ぞ知る!自衛隊に支給される【広域異動手当】とは?』

『自衛隊の【通勤手当】はいくらもらえるの?ガソリン代や高速代は?』

最後まで読んで頂きありがとうございました

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