陸・海・空の自衛隊には、幹部自衛官がいます。
「そもそも幹部自衛官とは?」
「幹部自衛官になる為には、どうすればいいの?」
「幹部自衛官にも、キャリアのコースはあるの?」
などの疑問を解消しますね。
私は陸上自衛隊の幹部自衛官でしたので、守秘義務に触れない範囲で説明します。
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幹部自衛官になる為に!
まず、幹部自衛官になる為には、どうすれば良いのでしょうか?
そして、
そもそも『幹部自衛官』とはどのような方を言うのでしょうか?
まずは、1つ1つ解決していきましょう。
幹部自衛官とは?
自衛隊の『幹部自衛官』とは、
のことを総称した呼び方です。
幹部自衛官になるには?
『幹部自衛官』になるには、大きく分けて3つのケースあります。
1つ目は、
最初から幹部になることを前提とした
「防衛大学校学生」や「自衛隊幹部候補生」として入隊し幹部になるケースです。
2つ目は、
自衛隊に入隊してから「曹」の階級と年数を経て、「部内試験に合格」して幹部になるケースです。
そして、3つ目は、
自衛隊に入隊してから昇級を重ねていき、「曹長」や「准尉」の階級の者が「3尉候補者課程」を経て幹部になるケースです。
以上、『幹部自衛官』になるためには、
3つのケースがありますが、呼び方にも違いがありますので紹介しますね。
幹部自衛官の3つの呼び名
幹部自衛官には、次の3種類の呼び名があります。
防衛大学の卒業者及び幹部候補生試験採用者
✅B幹部:
部内幹部候補試験の合格者
✅C幹部:
3尉候補者課程の卒業者
そして、A幹部及びB幹部の自衛官は、必ず「幹部候補生学校」を卒業する必要があります。
また、C幹部は、曹長又は准尉の階級の者が「3尉候補者試験」に合格し、「3尉候補者課程(SLC)」を卒業する必要があります。
それぞれのケースごとの概要をまとめてみました。
それでは、
それぞれのケースごとの特徴の細部について説明しますね。
『A幹部』の特徴
「防衛大学校学生」や「自衛隊幹部候補生」という入隊する時点から幹部になることを前提としたコースです。
俗に言うエリートコースですから、
「幹部候補生」になり、陸・海・空自衛隊の「幹部候補生学校」において、約1年間、幹部に必要な知識・技能を修得することになります。
頭脳明晰な方は多いですが、現場を経験するのは配属後となりますから当初は苦労します。
しかし、もともとがエリートコースですから、いずれ頭角を現して、自衛隊の「将」という上の階級に就く方も現れます。
『A幹部』のほとんどの方は、「3佐」以上の階級に昇任しますが、昇任を目指すためのコース(「AGS」「CGS」「TAC」「FOC」など)を経て、「1佐」以上の階級に就く方も少なくありません。
よくある質問に、
「大学出の幹部は、防衛大学出の幹部より出世しないのですか?」
という内容のものがあります。
結論は、
大学出の幹部は、防衛大学出の幹部より出世しないわけではありません!
なぜなら、
防衛大学出の序列が低い人より、一般大学出の序列が高い人の方が上の階級に早く昇任するからです。
私の元上司や友人にも、1佐以上の階級に昇任された一般大学出の方が多くいます。
そして、
指揮官としても人格者としても活躍されている幹部自衛官が沢山います…
「防衛大学校学生」になるには?
「防衛大学校学生」になるには、試験に合格する必要があります。
防衛大学校の試験に合格するための秘訣については、別に記事を書いていますので、次を参考にしてください。
⇒『【防衛大学校】に入学したい!倍率や合格するには?給料はもらえる?』
なお、陸上自衛隊には、
【高等工科学校】という名前の高校があり、【高等工科学校】から【防衛大学校】を目指す人もいます。
ちなみに、【高等工科学校】は、主となる高校の授業を受けながら合間に自衛官になる為の基礎的訓練を学ぶという学校です。
興味のある方はこちらをご覧ください。
⇒『【高等工科学校】普通の高校生とは何が違うの?どんな教育?卒業後は?』
「自衛隊幹部候補生」に採用されるには?
「自衛隊幹部候補生」に採用されるには、
「一般幹部候補生」
「歯科幹部候補生」
「薬剤科幹部候補生」
という3つのコースがあり、それぞれの個別試験に合格する必要があります。
通常イメージされる自衛隊の「幹部候補生」は、「一般幹部候補生」のコースとなります。
図は、R4年の最新の募集情報となります。
そして、幹部候補生学校を卒業後、初級幹部として部隊や病院に配属されることになります。
なお、自衛官に採用された後、大学卒同等の知識を持っている人が受験して「自衛隊幹部候補生」となる場合もあります。
「自衛隊に入隊したい!」
「一般幹部候補生について知りたい」
という方は、別に記事を書いていますのでこちらをご参考にしてください。
⇒『自衛隊に入隊したい!採用試験の合格ラインは?何をすれば良いか?』
『B幹部』の特徴
いわゆる叩き上げで幹部になるコースです。
下の階級のときから現場で勤務している隊員が、「3曹」以上の階級となり、受験資格年数を経て、1次・2次の部内試験に合格することでやっと幹部になれます。
幹部へ昇任するには、
『A幹部』と同様に「幹部候補生」になり、陸・海・空自衛隊の「幹部候補生学校」において、約6ヶ月間、幹部に必要な知識・技能を修得することになります。
すでに、自衛隊に関する知識や技能、体力もあるわけですから『A幹部』の様に1年間も学ぶ必要が無く、即、現場復帰するわけです。
規則も現場も良く知っていますから、初級幹部の際は、兄貴や姉御的な存在となります。
将来は、昇任を目指すためのコースである「CGS」や「FOC」などを経て、「1佐」の階級に就く方もいます。
しかし、多くの方は「3佐」又は「1尉」で現役を終えることになります。
『C幹部』の特徴
その道のベテランが幹部になるコースです。
自衛隊に長期勤務し、
「曹長」又は「准尉」の階級に昇任することで「3尉候補者試験」を受験できます。
1次・2次の部内試験に合格し、
約3ヶ月の「3尉候補者課程(SLC)」を卒業することでやっと幹部になれます。
『C幹部』は、規則も現場も熟知していますから、3尉になった際はおやじ的な存在となります。
ただし、年齢も高いため階級的に「1尉」になれる者はごく少数で、大多数は「2尉」止まりとなります。
【参考】幹部自衛官の階級の上がり方
幹部自衛官になった後の階級の上がり方は、こちらをご覧ください。
⇒『【幹部自衛官】階級はどのように上がるのか?「3尉」昇任後の道』
まとめ
今回は、
『【徹底解説】幹部自衛官とは?幹部になる3つの方法・ケース』
と題しまして、
「そもそも幹部自衛官とは?」
「幹部自衛官になる為には、どうすればいいの?」
「幹部自衛官にも、キャリアのコースはあるの?」
などの疑問に向けて説明しました。
まず、自衛隊の『幹部自衛官』とは、
自衛隊組織の中で部隊の骨幹である指揮官や幕僚として任務を遂行する3尉以上の自衛官のことを総称した呼び方
だと説明しました。
次に、
『幹部自衛官』になるためには、
3つのケースがあること、そして、次の3種類の呼び名がありました。
防衛大学の卒業者及び幹部候補生試験採用者
✅B幹部:
部内幹部候補試験の合格者
✅C幹部:
3尉候補者課程の卒業者
それぞれのケースごとに特徴などを加えて説明しました。