『自衛隊』とは、自衛隊法に基づき、
日本の平和と独立を守り、国の安全を保つために設置された部隊および機関のことです。
自衛隊には、陸上・海上・航空の3個の自衛隊がありますね。
それぞれ、
「陸上自衛隊」は我が国の国土を、
「海上自衛隊」は我が国周辺海域と海上交通を、
「航空自衛隊」は我が国上空を
守るという任務についています。
そして、陸海空自衛隊には、気質や特徴から違いがあります。
今回は、
②陸海空自衛隊の気質・特徴の四字熟語
を通じて、3自衛隊の違いを紹介します。
陸海空自衛隊の気質・特徴のキャッチフレーズ
「自衛隊(じえいたい)」は、英語で、
Japan Self-Defense Forces(略称: JSDF)と表現されます。
英語から直訳すると、「日本の自己防衛力」となりますね。
それでは、
3自衛隊の気質・特徴から見たキャッチフレーズの違いを見てみましょう。
なお、キャッチフレーズ内容は、
『防衛白書』の「第3章 わが国の防衛と多様な事態への対応」を参考にさせて頂きました。
陸上自衛隊のキャッチフレーズ
「陸上自衛隊」は、
『Final Goal Keeper of Defense(ファイナル ゴールキーパー オブ ディフェンス)』
と表現されています。
陸上の防衛力は、
国防においても、国際任務においても、
国家の意思を体現する「防衛力の要」としての位置づけにあります。
「要」であるがゆえ、サッカーに例えると
「ゴール・キーパー」に位置づけされている様です。
つまり、
「日本として目に見える活動」ができることを表現しています。
新たな脅威及び多様な任務に柔軟に対応するとともに、国際的な安全保障環境の安定化のため、「国家防衛の最後(ファイナル)の砦」であることを示しているのです。
海上自衛隊のキャッチフレーズ
「海上自衛隊」は、
『First Line of Defense(ファースト ライン オブ ディフェンス)』
と表現されています。
四面環海のわが国は、
資源・エネルギー、食糧などを輸入し、工業製品を輸出して国家の繁栄を支えています。
そのため、
海上交通に大きく依存されているわけです。
海上自衛隊は、
広大な海洋を活動の舞台とする海上交通路を「防衛の最重要ライン」と位置づけ、海上防衛に任じているのです。
また、万一、わが国に対する侵攻が行われる場合には、
敵は遠く海を経由して侵攻してくることが予想されます。
海上における防衛は、
正にわが国「防衛の第一線」と認識しているため、「First Line of Defense」という意味も含んでいるのです。
航空自衛隊のキャッチフレーズ
「航空自衛隊」は、
『Key to Defense, Ready Anytime(キー トゥ ディフェンス、レディ エニィタイム)』
と表現されています。
航空の防衛力は、
「帰趨(きすう)を決する」という言葉どおり、
戦いの勝敗が行きつくところを決定するという重要なポイントです。
そのため、
陸・海作戦にも大きな影響を与える航空優勢獲得の中心的な役割を担っているのです。
つまり、
「Key to Defense」は、わが国の防衛の「鍵」であることを端的に表しています。
また、
✅急襲的に行われる航空侵攻などに対する措置
は、他の組織をもって代替することのできない重要な役割を持っています。
そして、「Ready Anytime」は、
これらの措置を迅速かつ適切に行うことができるように平素から即応態勢を保持する航空自衛隊の姿を表す言葉そのものなのです。
陸海空自衛隊の気質・特徴の四字熟語
以前から、陸海空自衛隊の気質・特徴を
四字熟語で上手く!?表現されていますので紹介しますね。
四字熟語は、次のとおりです。
(よういしゅうとう・どうみゃくこうか)
(でんとうぼくしゅ・ゆいがどくそん)
(ゆうもうかかん・しりめつれつ)
さて、各自衛隊の隊員は、
「なるほど」と聞いてはいるものの、納得はしていない様です。
特に、最近では、後半の四字熟語に関して、
「えっ、誤解では?」
という反応の自衛官は多くいます。
陸や海の隊員の中には、柔軟な考え方をする人もいれば支離滅裂な人はいますし、空の隊員にも、慎重であるがゆえ動きの悪い人がいますから…
では、それぞれ個々に違いを説明します。
陸上自衛隊:「用意周到・動脈硬化」
陸上自衛隊は、
「最後の砦」という思考形態があります。
そのために、
「敵の目的や行動の企図」を考える傾向が強いです。
このことからも、
大きな組織を動かすためには、周到な準備が必要で、一度決めたことを変更するのは、大変な労力が必要になるということの現れです。
しかしながら、
「用意周到」で慎重なのはいいが、
トップダウン文化が染み付いているため融通が効かない「動脈硬化」という例えが濃く反映されています。
海上自衛隊:「伝統墨守・唯我独尊」
海上自衛隊は、
「一つの船の中で、生死も共にする」という思想があります。
普段から海上自衛官は、船の中が生活の場となります。
苦楽はもとより、生死も一緒ということですから、非常に「団結力が強い」という印象があります。
当然のこと、他の企業などに比べれば、
陸上自衛隊も航空自衛隊も団結は強いですけれども、海上自衛隊は別格な感じがします。
しかしながら、
「唯我独尊」は、『天上天下唯我独尊』の略であり、「この世で自分が最も優れた唯一の者である」という意味があります。
つまり、「自分が誰よりも優れている」と考えるという、思い上がり・うぬ惚れ・独りよがりを指す意味で用いられることが多いことばです。
そのため、
旧海軍のよき伝統を継承しているという自負が強く、昔(過去)に対するこだわりが一番強いという印象が反映されています。
航空自衛隊:「勇猛果敢・支離滅裂」
航空自衛隊は、
「取りあえず、飛び立って作戦を始めなければならない!」という思想があります。
それは、
『スクランブル』
に象徴されますとおり、「勇猛果敢」です。
当然、フットワークが良いし、判断も速いです。
そのため、航空自衛官は、
「融通無碍(ゆうずうむげ)」と言われたりします。
意味するところは、
特定のことにとらわれたり、こだわったりすることがなく、自由でのびのびとしている
ということです。
「融通」は滞り(とどこおり)がないことや、その場その場で適切に対応することを指し、
「無碍」は妨げ(さまたげ)になるものが無い状態を指すことばです。
しかしながら、
「支離滅裂」と表現されています。
パイロットや航空機整備、地上勤務などの勤務環境が異なることから、「統一性がなく、ばらばらに乱れている」とか、「筋道が立たず、めちゃめちゃだ」と言われているのです。
陸海空自衛隊の違いは作戦速度!?
陸海空自衛隊のそれぞれの違いについて、
キャッチフレーズや四字熟語で見てきました。
別な見方をすると、
陸海空自衛隊の違いは、「作戦速度」にあると言われています。
すなわち、作戦を統制するのに、
陸は、「日」単位、
海は、「時間」単位、
空は、「分」単位
で考えるってのが基本だそうです。
このような「作戦速度」も自衛隊の違いに影響しているわけですね。
統合幕僚監部の四文字熟語は?
では、現在の統幕こと、
統合幕僚監部を示す四文字熟語は、何と言われているのでしょうか?
かつての統合幕僚会議の時代は、
「高位高官・権限皆無」
とか言われていました。
そこで、
統合幕僚監部という組織が2006年に新設されました。
有事・平時を問わず、各自衛隊の運用に関する防衛大臣の指揮・命令は、すべて統合幕僚監部を通じて行われることになったのです。
現在のところ、
統合幕僚監部を示す四文字熟語について聞いたことはありません。
ただ、
「権限絶大・〇〇〇〇」
という四字熟語と言われる日が来るかもしれません…